腹圧性尿失禁
腹圧性尿失禁とはお腹に力を入れたときに尿が漏れる疾患の総称です。
原因は骨盤を支える骨盤底筋群の筋力低下や中部尿道の過可動(尿道の安定が悪い)が考えられています。女性に圧倒的に多いですがその原因は、もともと女性は尿道が短いため中部尿道が不安定になりやすいこと、出産にともなう骨盤底筋群のゆるみが生じること、男性と比較して筋力が弱いことが挙げられます。しかし男性であっても高齢で筋力低下が著しい場合や前立腺手術後で尿道抵抗が少なくなっている場合は腹圧性尿失禁を起こすこともあります。
具体的には階段を昇り降りするときや、咳、くしゃみのときに尿漏れが起きる場合、腹圧性尿失禁であることが多いです。
治療
尿道周囲の筋肉を締める薬や一般的な尿失禁の薬をまず使用します。同時に骨盤底筋体操の指導を行います。しかしこの骨盤底筋体操に関しては指導を行っても実際に実行するのは家庭やクリニック外であるため方法、回数などうまくできているかの確認が難しいという難点があります。また筋肉トレーニング、リハビリの一種であるため毎日実行していても数か月は効果が実感できないことが多く途中で忘れたりやめたりしがちです。
当院ではそのような方に内服での治療と並行して中周波を使用した骨盤底筋干渉波刺激療法を行っております。中周波を使用するため表面の筋肉ではなく骨盤内の筋肉を主に刺激して筋力アップをはかる治療法です。いずれにせよ効果を感じるまでには数か月以上は治療を継続することが重要です。
また重症例や明らかな骨盤臓器脱が原因の場合は手術により尿道や骨盤底筋を持ち上げ補助したり、臓器脱を治療する必要があるため連携施設にご紹介させていただきます。