頻尿・夜間頻尿・尿漏れ
一般に尿が近い、尿の回数が多いことを頻尿といいます。現在ではかなりありふれた日常用語としても流通しているかと思いますが泌尿器科医の扱う頻尿はまた別の意味合いがあります。我々が扱う領域の中でもかなり上位にくるほど頻度の高い症状ではありますが実はその病態はかなり複雑です。実際に診療していると高齢男性であれば頻尿=前立腺肥大症と考える医師も多いと思いますがそれほど単純ではありません。
頻尿の定義
頻尿の定義は昼間であれば7回以上、夜であれば1回以上というものがありますが実際は1日20回トイレに行っても困っておられない方もおられれば8回でも非常に困っておられる方もおり患者さん個々で治療方針と原因検索を考えていかなければならないと思っております。
頻尿の原因
ではその原因は何にあるのでしょうか。その原因を探るには詳細な問診と検査が必要になってきます。1日のうち昼だけなのか、夜だけなのか、回数は何回なのか、尿漏れはあるのか、突然の我慢できない尿意は自覚しているか、尿量はどれほどか、お腹の手術歴は?脳梗塞、脳出血などは過去にあったか、高血圧、肥満症、心不全、不眠症…数え上げればきりがないくらいの疾患が頻尿にかかわっています。これらを問診と検査により徐々に範囲をせばめていきながら最終的に診断を下す流れとなります。そのため運よく初回受診時から症状が改善する方もおられれば、何度も薬を変更してやっと改善する方もいたりかなり様々な経過をたどります。
頻尿の治療
今まで述べたように頻尿の原因は様々で一つだけとも限りません。そのためお薬を何度も変更する可能性はあります。男性であれば前立腺肥大症にかかわる頻尿であればまずはじめに前立腺肥大症の内服治療を行い、並行して頻尿の治療も行うことになります。
よく使用するお薬では抗コリン薬(膀胱の収縮を抑える)、β3刺激薬(膀胱を弛緩させる)、αブロッカー(前立腺部尿道を弛緩させる)、生薬エキス配合薬、各種漢方薬、睡眠調整薬、抗利尿ホルモン薬などです。その他にも種々のお薬を検討したり高血圧、心不全、糖尿病などの内科疾患があれば同時にそちらの治療を行うことも重要です。このようなことから泌尿器科医にとって頻尿とは頻度の多い症状であるにもかかわらず非常に治療が難しい病気の1つとなっています。症状にお悩みの方、あきらめていた方なども一度専門医にご相談してみてはいかがでしょうか。